年の瀬にあたり
2021.師走
今年も読売新聞をご愛読いただき、誠にありがとうございました。来年もよろしくお願い致します。
令和三年はコロナ感染の急増により一月八日に緊急事態宣言が発出され、波乱を予感させる幕開けとなりました。うれしかったこと、辛かったこと、様々なことを思いながら今年を四つのキーワードにしてふり返ってみたいと思います。
一つ目は「禍」です。コロナ禍と自然災害は今年も列島に襲いかかり、私たちを苦しめています。それでもコロナの猛威はワクチンの普及と国民の自粛により、少しずつ収束に向かっているようですが…。また首都圏では直下型地震を思わせる強い揺れがあり、さらには海底火山の噴火により大量の軽石が漂流し、各地に大きな被害をもたらしています。今年も自然の脅威はあとを断ちませんでした。
二つ目は「祭」。コロナ下での平和の祭典オリンピック、パラリンピックは見事に成功しました。そして世界に向けコロナに負けず前に進もうと勇気と希望を発信することができ、国民の心がひとつになった夏となりました。
三つ目は「躍」。和製ベーブルース・大谷翔平の圧巻のMVP満票受賞、松山英樹のマスターズ制覇、そしてオリンピック・パラリンピック選手団の大活躍は国民を大いに勇気づけてくれました。十月には真鍋淑郎博士がノーベル物理学賞を受賞、さらに、伝統ある音楽コンクールでも日本の若き芸術家たちが快挙を成し遂げてくれました。世界で活躍する日本人は私たちの誇りです。そして十一月には、将棋の藤井聡太三冠が遂に竜王位を獲得。恐るべき十九才です。
四つ目は「貫」とします。十年間一途な恋を貫いたプリンセス眞子。多くの障害を乗り越えて小室圭さんとの愛を実らせた眞子さんに今はただ「お幸せに!」と祝福のエールを送ります。
また同じ十一月には作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんが九十九年の波乱の生涯に幕を閉じました。
「情熱と愛のままに」新聞の見出しそのままの人生だったと聞いております。かつてのテレビ番組で「日本語ってひっくり返して読むと面白いのよ。家出と出家、私は両方ともしちゃいました」と語っていたのには、思わずクスッとしてしまいます。
「禍、祭、躍、貫」に象徴された令和三年も残りわずか。大晦日の紅白歌合戦を観て年を越す、正月には箱根駅伝で激走する若者たちに声援を送る。やっぱり日本ていいですね。
悲喜こもごもの令和三年。何気ない日常のありがたさが身にしみる年でした。来年こそコロナが終息し平和で実り
多い年になることを願います。
皆様よいお年をお迎えください。